移植腎生検標本における肥満細胞と血管新生の検討

鳥取大学医学部 病理学第一講座
* 後藤 栄造、坂谷 貴司、庄盛 浩平、安達 博信、井藤 久雄

【目的】 近年、種々の腫瘍性疾患で、肥満細胞と血管新生との関連が報告されている。今回、我々は、移植腎生検標本におけるtryptase陽性肥満細胞(MCt)と血管新生についての検討を行った。
【方法】 急性拒絶(AR群)、borderline chane(BC群)、慢性拒絶(CR群)、拒絶反応なし(NR群)と診断された移植腎生検標本各8症例について、免疫組織化学的にMCtを検出した。また、移植後経時的に生検が施行され、最終的に慢性拒絶反応を示した2症例について、免疫組織化学的に抗CD34抗体を用いて、陽性血管数をカウントし、microvascular densityを求めた。また、血管新生因子であるThymidine phosphorylase(dThdPase)の発現も検討した。
【結果】 MCt数は、他の3群と比較して、CR群で有意に高かった(AR群;22.2±7.9、BL群;14.1±5.0、CR群;100.1±13.2、NR群;16.2±3.6、各群20HPF)。microvascular densityは急性期に低く、その後、急激に増加する傾向があった。また、dThdPaseは、間質の炎症細胞に発現し、加えて、急性期には糸球体の血管内皮細胞、慢性期には尿細管上皮に発現が高まる傾向があった。
【まとめ】
移植腎生検標本においては、急性拒絶期にdThdPaseが間質の炎症細胞と糸球体の血管内皮細胞に発現し、その後、血管新生が促進された。慢性拒絶期に入るとMCtの増加とdThdPaseの尿細管上皮における発現が目立っていた。

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