移植後早期より肉芽腫性間質性腎炎を呈し、アデノウイルス感染が疑われた一例

東京慈恵会医科大学柏病院 病理
* 山本 泉、山口 裕
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
堀田 茂
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター 泌尿器科
田辺 一成、東間 紘
 

31歳男性。
IgA腎症由来の慢性腎不全にて1993年5月より血液透析を開始。
2004年4月に実母をドナーとする血液型適合生体腎移植を施行。
術後4日目の血清Cr1.6mg/dlであったが、術後7日目に血清Cr2.0mg/dlとなり、腎生検を施行。
拒絶反応の所見はなく、肉芽腫性間質性腎炎を認めた。
臨床上、腎生検時に39.4度の発熱、排尿時痛、肉眼的血尿が見られ、その後の検索で尿中アデノウイルス抗原陽性が判明し、アデノウイルス感染が疑われた。
免疫抑制剤減量及びデノシン投与を開始し、術後25日目の腎生検では、肉芽腫性間質性腎炎の改善を認めた。
術後31日目に、解熱と肉眼的血尿の消失が得られ、尿中アデノウイルス抗原の陰性化を確認し、術後36日目に血清Cr1.7mg/dlで退院した。
本例は、移植後きわめて早期にアデノウイルスによる尿路感染に伴なう肉芽腫性間質性腎炎を発症したまれな症例と考え報告とする。


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