術後2ヶ月目に肉芽腫性間質性腎炎と動脈炎によって移植腎機能障害をきたした死体腎移植の1例

聖マリアンナ医科大学 診断病理学
* 小池 淳樹
東京慈恵会医科大学柏病院 病理部
山口  裕
東京女子医科大学腎センター 外科
堀田  茂、三宮 彰仁、渕之上昌平
 

【はじめに】移植腎機能障害には拒絶反応のほかに、様々な感染症が関与して発生する可能性がある。今回、緑膿菌による上行性尿路感染症に続発した肉芽腫性間質性腎炎と考えられた死体腎移植の1例を経験したので報告する。
【症例】42歳、男性。慢性糸球体腎炎に続発した慢性腎不全に対し、死体腎移植を施行された。術後0時間生検では、腎組織に軽度から中等度の急性尿細管壊死(ATN)とドナー由来の中等度の間質炎症細胞浸潤がみられた。初尿は9日目に認められ、以後1500〜2000ml/日の尿量が得られたが、術後42日目においてもsCr3.3mg/dlと移植腎機能障害が遷延したため、2回目の移植腎生検が施行された。このときの腎組織には、ATNの遷延と考えられる所見がみられたが、拒絶反応の所見は認められなかったため、経過観察された。以後sCrは3.0mg/dl前後で推移したが、術後60日目にsCrが4.0mg/dlに上昇したため、3回目の移植腎生検が施行された。この時の腎組織に、多発性の肉芽腫性病変を伴う間質性腎炎とこれに続発したと考えられる小葉間動脈の動脈炎が認められた。
【考察】本例は廃用性膀胱によると考えられた膀胱機能障害が合併しており、3回目の移植腎生検の直後に施行された尿培養で、緑膿菌感染が証明されたことから、この時に認められた肉芽腫性間質性腎炎および動脈炎は、緑膿菌の上行性尿路感染症に関連したものと考えられた。
【検討課題】移植腎に発生した肉芽腫性間質性腎炎や動脈炎は、giant cell arteritisの合併や薬剤性腎障害にみられたものなどの報告があり、本例のそれが緑膿菌感染以外の原因による可能性があるか否か、検討を要する症例と考えられた。


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