抗HLA抗体陽性の献腎移植症例

札幌北楡病院
* 江川 宏寿、佐藤  壯、玉置  透、安部 美寛、山田 理大、飯田 潤一、津田 一郎、坂田 博美、小野寺一彦、堀江  卓、久木田和丘、目黒 順一、米川 元樹、川村 明夫
KKR 札幌医療センター
深澤雄一郎
 

献腎移植直後に抗HLA抗体陽性が判明し、腎摘出に至った症例を経験した。
58歳の男性。
献腎移植術直後にHLA A24とB59に対する特異的抗体を認めた。
1hr生検では、尿細管上皮の虚血障害のみで抗体関連障害はなかった(図1)。
術直後にはこれらの特異的抗体は検出されず、吸着されたものと思われた。
尿量増加が得られないため、術後13病日に腎生検施行した。
急性細胞性拒絶反応の診断であった(図2)。
治療後の腎生検では、細胞性拒絶の遷延を認めたが、液性拒絶の所見は乏しかった(図3)。
術後33病日、腎生検は液性拒絶反応を示した(図4)が、スパニジンによる汎血球減少症やCMV感染症併発などあり、積極的な治療は困難であり、第41病日に移植腎摘出を余儀なくされた(図5)。
現行のレシピエント選定基準の際のクロスマッチはCDC T-LCTのみである。
FACSクロスマッチは、献腎移植においても早期導入すべきものと考える。


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