両腎とも機能が発現しなかった腎移植例

長崎大学大学院 腎泌尿器病態学
* 錦戸 雅春、望月 保志、野口  満、野俣浩一郎、金武  洋
同 病態病理学
田口  尚
長崎大学医学部歯学部附属病院 血液浄化療法部
原田 孝司
国立長崎医療センター 泌尿器科
津田  聡、犬塚  周、松屋 福蔵、林  幹男
黒木医院
古賀 成彦

今回両腎とも機能が発現しなかった腎移植例を経験しその経過と病理所見を検討した。ドナーは38歳男性。死因は脊髄損傷によるCPA蘇生後脳症で、入院時Cr0.8mg/dl。入院5病日目、臓器提供承諾前に心停止をきたし、(家族不在)、承諾書作成後、ヘパリン投与と灌流後摘出。WIT0分(実質的な温阻血は61分)、灌流状態 ・色調は良好。
右腎レシピエントは43歳男性、透析歴11年5ヶ月、TIT19時間40分で血流再開後の色調不良であり徐々に改善したが膀胱尿管吻合時移植腎の黒色変化とうっ血様変化を認めたが血管吻合部屈曲、血栓はなく、抗凝固療法を併用し閉創。その後、血小板の低下・LDHの上昇があり、血流をほとんど認めず、移植6病日目に摘出。1時間生検では、著明な糸球体係蹄のうっ血像が認められた。摘出腎は血栓を伴う広範な皮質壊死の状態であった。
左腎レシピエントは54歳男性、透析歴14年6ヶ月、冠動脈バイパス手術 ・完全房室ブロックにてペースメーカー植込 ・DMの既往あり。TIT:27時間38分で初尿は確認できず。移植後4病日目に胸部不快 ・圧迫感を訴え心停止状態となり同日死亡。Necropsyでは、糸球体係蹄と小葉間動脈に血栓形成を示す皮質領域の壊死を認めた。
両腎ともに摘出時と死亡時には、血栓形成を伴う皮質壊死の像を示しており、これらの症例の無機能腎の機序について、臨床的および病理的に考察を加えたい。


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