超急性拒絶反応により移植腎摘出に至った夫婦間ABO血液型不適合生体腎移植の一症例

社会保険中京病院 腎・透析科
* 堀江 勝智、加納 康子、佐藤 元美、露木 幹人
社会保険中京病院 泌尿器科
石田 昇平、下地 健雄、藤田 高史、木村  亨、加藤 真史、
辻  克和、絹川 常郎

 症例は51歳男性。糖尿病性腎症に由来する末期慢性腎不全にて、妻からの生体腎移植を希望され当院受診。2006年11月9日より血液透析導入した。血液型不適合(A型→O型)のため術前に脾摘およびDFPPを3回施行した。術前のCDC、FCXMは陰性。12月14日生体腎移植を施行した。手術当日の抗A抗体価はIgM4倍、IgG64倍であった。免疫抑制剤はFK、MMF、BSX、ステロイドの4剤を使用した。術直後から乏尿傾向で、肺水腫のためCHFを施行した。またWBC, LDHの上昇、pltの低下、ドップラーエコーにて腎皮質の血流低下を認め、超急性拒絶反応を疑いPEX、ステロイドパルス等を施行したが、術後4日目の腎生検にて、小葉間動脈から糸球体、PTC内へのびまん性血栓形成及び広範な尿細管壊死の所見を認め、腎機能障害は非可逆的と判断し術後7日目に移植腎を摘出した。術前後のflow PRAはHLA class I、class IIに対する抗体は陰性であり、血液型抗体によると考えられる超急性拒絶反応により移植腎摘に至った症例を経験したので報告する。


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