腎移植半年後肝・卵巣に発生したB細胞リンパ腫の1例

秋田大学 泌尿器科
* 井上 高光、齋藤  満、土谷 順彦、佐藤  滋、羽渕 友則
秋田大学 病理部
提嶋 真人

 症例は38才女性、母親をドナーとする血液型一致生体腎移植を施行。EBウイルスVCA IgGはドナー、レシピエント共に陽性で既感染。免疫抑制はTacrolimus、MMF、PSLの三剤併用とした。術後3週で腎機能悪化し、腎生検で急性拒絶および血栓形成を認め、PSLパルス療法およびDSG投与、抗凝固療法を施行した。術後6 ヶ月で免疫抑制はTacrolimus血中濃度は8ng/ml、MMF 2000mg/day、PSL 10mg/dayとし外来経過観察中、持続する発熱および腹痛を訴えた。CT、MRIで肝に多発性腫瘍および卵巣に径8cmの腫瘍を認めた。PTLDを疑ったが、卵巣原発の悪性リンパ腫は文献上、0.2%と非常に稀であるため、卵巣摘除術を施行した。病理診断はEBNA2陽性、CD20陽性であり、EBV関連diffuse large B-cell lymphoma, Post-transplant lymphoproliferative disorder(PTLD)と診断した。直ちに免疫抑制剤をPSL10mg/dayのみと大幅に減量し、アシクロビルを追加投与した。FK506、MMF中止後14日で肝の多発性腫瘍は縮小率80%以上と著明に縮小し、中止後5ヶ月のCTでは完全消失した。移植腎機能はCre1.0と拒絶の徴候なく良好である。


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