虚血/ 再灌流障害が原因と考えられた死体腎移植後primary nonfunctionの3症例

金沢医科大学 腎機能治療学
* 今村 秀嗣、浅香 充宏、木村 庄吾、渥美 浩克、井村 淳子、
藤本 圭司、近澤 芳寛、中川 卓、奥山 宏、山谷 秀喜、
友杉 直久、横山 仁

 死体腎移植後PNFに陥った3症例の0時間腎生検(0 hr RBx)と1時間腎生検(1 hr RBx)を病理組織学的に検討した。症例1は45歳男性、透析歴242ヵ月。脳梗塞で死亡した70歳男性をドナーとした死体腎移植を施行し、温阻血時間(WIT)は23分であった。閉創後施行したドップラーエコーで腎血流が確認できなかったため再度開創。しかし、腎の色調が改善しないためday0に移植腎を摘出した。症例2は47歳女性、透析歴240ヵ月。ドナーは交通外傷で死亡した19歳女性。WITは0分であった。day1、day3のDTPAで腎血流が認められず、最終的にはday6に移植腎を摘出した。症例3は40歳女性、透析歴177ヵ月。くも膜下出血で死亡した69歳の女性をドナーとした死体腎移植を施行し、WITは7分であった。腎機能発現が認められないためday52に移植腎を摘出した。症例2と3では移植直後より血清LDHの上昇と血小板数の低下がみられた。病理組織学的には3症例とも0 hr RBxでは糸球体に目立った変化はなかったが、1 hr RBxでは糸球体係蹄内皮細胞の腫大・剥離とともに、係蹄腔内に強いうっ血が観察された。症例1と3では心停止前に収縮期血圧が60mmHg未満の死戦期がそれぞれ25分および30分間存在し、また症例2は経過中に95分間心臓マッサージを受けていた。書類上のWITよりさらに長時間、移植腎は虚血にさらされていたと考えられる。3例のprimary nonfunctionの原因は虚血/再灌流障害と考えられた。


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