腎移植後IgA腎症再燃による蛋白尿陽性に対する扁桃摘出術の有効性

京都府立医科大学 移植・再生外科学
* 牛込 秀隆、鈴木 智之、昇 修治、阪本 靖介、吉村 了勇
京都府立医科大学 臓器応答探索医学講座
岡本 雅彦、吉村 了勇

【症例】
当院では2007年から腎移植後IgA腎症再発症例に対して積極的に扁桃摘出術施行を導入している。34歳男性。IgA腎症による末期腎不全にて24歳で血液透析導入、26歳にて当院で母親をドナーとする生体腎移植を施行された。免疫抑制剤はCsA、AZ、MPを使用した。徐々に免疫抑制剤を減少した移植後5年後より尿蛋白定性陽性化した。移植後6年後には、S-Crは1.2mg/dl前後で変化なかったが、尿蛋白定性(3+)尿潜血(2+)と増悪したため移植腎生検を行った。IgA沈着、depositを認めてIgA腎症再燃と診断し、扁桃摘出術を施行した。扁桃摘出術施行後1年経過して尿蛋白、尿潜血いずれも陰性化し、移植腎生検にてもIgA沈着は認めたがdepositの減少がみられた。その間の免疫抑制療法は変更しなかった。
【結語】
扁桃摘出術は、腎移植後IgA腎症再燃に対しても尿蛋白、血尿の改善に有効であった。ステロイドパルス療法を併用するかについては、免疫抑制療法継続中である事と合併症を考慮して今後も検討する。

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