移植患者における低用量リツキサンの脾臓に対する影響

東京女子医大 泌尿器科
* 土岐 大介、石田 英樹、尾本 和也、白川 浩希、清水 朋一、
瀬戸口 誠、田邉 一成
東京女子医大腎センター 病理部
堀田 茂
慈恵医大柏病院 病理部
山口 裕

【背景】
リツキサンはその強力なB細胞除去効果により、脾臓摘出術の代わりとして、血液型不適合移植や高感作レシピエントの移植に用いられている。リツキサンは375mg/m2の単回投与が一般的であるが、低用量投与による脾臓内B細胞分画の除去効果についてはよく分かっていない。今回我々は、2005年4月から8月にかけて、低用量リツキサン投与後、脾臓摘出を施行した5例の血液型不適合移植を対象とし、retrospectiveに脾臓内B細胞への低用量リツキサンの影響を検討した。
【方法】
リツキサン投与量はそれぞれ、10、15、35、150、300mg/m2であった。対照としてリツキサン投与以外は同じ免疫抑制プロトコールで移植を施行したABO不適合移植症例1例を用いた。リツキサン投与と脾臓摘出の期間は3−13日であった。B細胞マーカーとしてCD20、CD79aを用い免疫染色を施行した。
【結果】
CD20、CD79a陽性細胞ともコントロールと比べ、リツキサン投与群では全例著名な減少を認めた。CD20陽性細胞は10、15mg/m2では残存を認めたが、35mg/m2以上ではほとんど残存を認めなかった。一方CD79a陽性細胞はリツキサン投与群すべにおいて同程度の残存を認めた。
【結論】
低用量リツキサン(特に35mg/m2以上)は脾臓内のB細胞を著名に除去した。一方でCD20とCD79aのあいだに乖離を認めたことは、リツキサンが脾臓内のCD20抗原をマスクした可能性が示唆される。

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