抗CD25抗体で救済が可能であった遅発性acute T-cell mediated rejection
の1例

市立札幌病院 泌尿器科・腎移植科
* 大澤 崇宏、原田 浩、早崎 貴洋、宇野 仁揮、松本 隆児、
中村 美智子、高田 徳容、関 利盛、富樫 正樹、平野 哲夫
市立札幌病院 病理科
小川 弥生、武内 利直

 症例は56歳男性、DM nephropathyによるESRDにて5 ヶ月の血液透析を経て妻をドナーに腎移植を施行した(TAC, MMF, MP, Basiliximab)。血液型は適合(A→A)、HLAは5/6ミスマッチ、抗HLA抗体は陰性であった。
sCr1.1mg/dlにて良好に経過していたが、2年2 ヶ月後に風邪症状ののちsCrの上昇あり(2.2mg/dl)、腎生検(図)を行ったところATMR IB(t3i3)の所見であり、MP pulse、DSGを投与した。なおTACを1/4量として服用していたことが判明し増量した。またFlow PRAはclass I、IIともにnegativeであった。sCrは一時低下したもののすぐに再上昇したため、腎生検を行ったが同様の所見で組織学的改善は乏しく、OKT3を10回施行した。腎生検にて病変の軽度改善(ATMR IA)が見られたがsCrに改善は見られず、OKT3を2日間追加し、basiliximabを1回追加した。
sCrは低下し腎生検所見はborderline changeと病変の改善が見られた。現在、sCrは1.6-1.8mg/dlで経過しており感染症などの有害事象も見られていない。
 以上、抗CD25抗体で救済が可能であった遅発性acute T-cell mediated rejectionの症例を報告する。


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