腎移植におけるプロトコル生検の検討:より適切なプロトコル生検は
いつ行うべきか?

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 武田 朝美、堀家 敬司、小野田 浩、古宮 俊幸、坂井 薫、
北村 謙、山本 慶子、及川 理、長坂 隆治、後藤 憲彦、
平光 高久、島袋 修一、鈴木 啓介、佐藤 哲彦、渡井 至彦、
打田 和治、両角 國男

 移植腎予後にプロトコル生検の果たす役割は大きい。我々はこれまでベースライン(1時間)生検と移植後プロトコル生検として退院前・半年後・1年後生検を行い、病理所見を個々の免疫抑制療法へ反映させてきた。今回、抗CD25抗体導入後2002年以降の腎移植症例を対象として3回のプロトコル生検(684件)組織像と臨床経過からその意義を再検討した。
 退院前生検(252件)、半年後生検(232件)、1年後生検(200件)は、各々が平均移植後24日、189日、371日で施行され、生検時の平均Cre値は1.22mg/dl、1.33mg/dl、1.37mg/dlだった。ボーダーライン変化までを含めた急性拒絶反応診断は各々9%、19%、8%だったがAR-IA以上の変化は少数だった。CNI腎障害は8%、8%、12%に認めたがこれもごく軽微な変化が主体だった。
 同時期症例で移植後1年までにエピソード生検は150件施行した。急性拒絶反応は24日目までで40件中13件(33%)、25日から半年までで98件中52件(53%)、半年から1年までで12件中5件(42%)に診断し、プロトコル生検に比較するとAR-IA以上の割合が多かった。CNI腎障害は各々18%、14%、25%に診断した。
 急性拒絶反応は半年後プロトコル生検での診断症例数が多く、エピソード生検でも退院後から半年までに高頻度で出現した。3回ともプロトコル生検を施行できた161例中58例(36%)で半年後および1年後生検でIF/TA病変の進展を認めていた。
 本検討での急性拒絶反応の出現時期や頻度、IF/TA病変の早期での進展からは半年後より前のプロトコル生検での介入(移植後3カ月頃が適当か?)が必要であろう。

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