カルシニューリン阻害剤の変更にて蛋白尿が著明に減量した移植後非抗体関連性糸球体炎の1例

市立札幌病院 腎臓移植外科
* 原田 浩、岩見 大基、佐々木 元、
市立札幌病院 泌尿器科
三浦 正義、関 利盛、富樫 正樹、平野 哲夫
北海道大学病院 腎泌尿器外科
三浦 正義

【背景および目的】カルシニューリン阻害剤(CNI)は尿細管障害、細動脈障害などの有害事象が知られているが、糸球体血管内皮障害を来すことも知られており、TMAの一因ともなっている。今回移植後数ヶ月以降に著明な蛋白尿を呈し、移植腎生検にて糸球体内皮障害が証明され、CNIの減量変更にて蛋白尿が消失した症例を報告する。
【症例】28歳男性。IgA腎症によるCKDにてPre-emptiveに腎移植を施行。導入免疫抑制剤はTAC/MMF/CS/Basilixmabで行い、CSは3日間離脱した。CMV未感染であり(D /R-)VGCVを予防投与したが、9M後にCMV感染を発症し、それに引き続くATMR(IA)を発症したが、抗拒絶療法にて改善し、移植腎機能は安定していた(sCr 1.5mg/dl)。蛋白尿は移植直後から少量出現していたが(0.2-0.5 g/gCr)、13 ヶ月後より増加した(最大3.18 g/gCr)。腎生検にて原病の再発、抗体関連拒絶反応などは証明されないものの、g2相当の糸球体の管内性の細胞増殖が疑われ、CNIをTACからCSAへ変更したところ、蛋白尿はほぼ消失した(0.15g/gCr)。
【結語】腎移植後の糸球体内皮障害による蛋白尿はCNIの関与することがあり、本症例は変更にて改善した。


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