血漿交換+Rituximabにて完全寛解した腎移植後巣状糸球体硬化症の定期的腎生検の一例

東邦大学医学部 腎臓学教室
* 酒井 謙、高須 二郎、二瓶 大、米倉 尚志、青木 裕次郎、
大谷 隆俊、大橋 靖、河村 毅、水入 苑生、相川 厚
東邦大学医学部 小児腎臓学講座
宍戸 清一郎
東邦大学大森病院 病院病理科
渋谷 和俊

 症例は45歳女性。1979年(15歳時)にたんぱく尿出現、1991年(27歳時)に腎機能低下し、開放腎生検を行ったが確定診断には至らなかった。同年透析を導入し、その後2008年5月に献腎移植を行った。移植後は8日目に透析を離脱して順調であったが、たんぱく尿は移植後直後から5-10g/dayで持続した。3か月生検で巣状糸球体硬化症を確認したため、2008年8月25日から血漿交換を6回終了直後、Rituximab200mgを用いて完全寛解した。3か月生検では全糸球体39個中分節状病変を有する糸球体は7.6%、全節性硬化が7.6%であった。完全寛解後の1年生検では全糸球体45個中分節状病変を有する糸球体は2%、全節性硬化が15%の光顕所見へ変化した。
 本症例の原病は確認できておらず、Preemptive plasma exchangeは行っておらず、Therapeutic plasma exchange+Rituximabが奏功した移植後巣状糸球体硬化症の再発と考えられた。特にRituximab使用例の完全寛解後の腎生検例は少なく、貴重な症例と考え報告した。


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