移植腎における輸入細動脈傍核空胞はカルシニューリンインヒビター毒性(CNI-NT)の有効な早期診断となりうるか?

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 堀家 敬司、荻山 義明、山内 友香子、村田 実奈子、川口 武彦、
鈴木 大成、大塚 康洋、稲熊 大城、武田 朝美、岡田 学、
野畑 宏信、山永 成美、山本 貴之、辻田 誠、平光 高久、
後藤 憲彦、南木 浩二、渡井 至彦、打田 和治、両角 國男
山口病理組織研究所
山口 裕

【背景・目的】移植腎生検において,傍核空胞が認められることが多い。カルシニューリンインヒビター毒性(CNINT)の慢性腎毒性の際に輸入細動脈のhyalinosisが観察されるが傍核空胞との関連性、また傍核空胞の出現時期、程度の評価を行った。
【対象・方法】対象は当院において行われた腎移植のプロトコール生検であり、連続した30名の検体をパイロットスタディとして評価した。CNIは当院のプロトコール通り、その時期に応じた血中濃度を厳格にコントロールした。評価の方法としては、腎移植後1時間、1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の4回の経時的生検にて、細動脈の傍核空胞とhyalinosisの変化を観察した。傍核空胞の評価としては、断面あたりの傍核空胞の割合で評価し、hyalinosisはBanff分類のah scoreを用いた。
【結果】傍核空胞の存在は1時間生検から確認された。症例毎に出現頻度はばらつきがある。1ヶ月生検では80%以上に観察された。ah scoreは1時間生検と比較し、概ね移植後1年までの評価において大きな変化はみられなかった。傍核空胞はah scoreとは無関係に認められたが、ah scoreが中等度〜高度なものでは傍核空胞は比較的多く確認さ れた。
【考察】今回の移植後1年までの検討では、傍核空胞と細動脈のhyalinosisの関連を述べることは困難であった。今後の課題として症例数を集めること、さらに移植3年後のプロトコール生検での観察が必要と考えられる。


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