クロスマッチ(LCT/FCXM)、HLA抗体(flow PRA/single antigen)が陰性で、急性抗体関連型拒絶反応(AMR)を呈した夫婦間血液型適合生体腎移植の一症例

(独)国立病院機構千葉東病院 腎・糖尿病・内分泌内科
* 川口 武彦
(独)国立病院機構千葉東病院 腎病理研究部
北村 博司
(独)国立病院機構千葉東病院 外科
伊藤 泰平、岩下 力、大月 和宣、圷 尚武、丸山 通広、剣持 敬

 症例は62歳女性。原疾患は不明であり61歳時に血液透析を導入。既往として46歳時に胃癌に対して胃全摘術を施行。輸血歴なし。妊娠・出産歴あり(G2P2)。RPR(−) TPHA(−) HBsAg(−) HCVAb(−) HIVAb(−)。今回夫をドナーとした血液型適合生体腎移植(A→A)を施行。術前HLA検査では2match 4mismatch(Recipient: A (31,33) B(44,51) DR(13,14) Donor: A(11,31) B(46,51) DR(8,15))、LCT T/B 陰性 FCXM T/B 陰性 PRA Class I/II 陰性であり、免疫抑制剤としてBasiliximab、TAC、MMF、PSLを使用した。移植1時間後のプロトコール腎生検では、中等度の動脈硬化があるものの、腎炎の持込病変は認められなかった。術中血流再開5分後には初尿を認め、その後数日間の利尿も良好(〜 4000ml/日)であったが、血清Cr値は6台と低下せず、腎血流エコーにてRI 0.8 〜 1.0と途絶パターンを呈していたことから急性拒絶反応を疑い、術後第4病日にエピソード腎生検を施行。光顕所見では糸球体係蹄ならびに傍尿細管毛細血管(PTC)への高度の炎症細胞の集積を認め、IF所見にてPTC にC4dが陽性を示すことから、急性抗体関連型拒絶反応(AMR)の診断となった(i1, t0, g3, v0 〜 1, c4d2, ptc3, aah0)。再度FCXM、PRA施行したがともに陰性であった。本症例では治療としてステロイドパルス(mPSL500mg ×3日)、IVIG(10g×5)、血漿交換(3回)を施行したが、Cr値の改善が見られず治療抵抗性であり、脾臓摘出も行った。今回の急性拒絶の原因は明らかとなっていないが、病理病態の解明が望まれる症例である。


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