移植腎針生検における糸球体門部小血管増生に関する検討

京都府立医科大学 人体病理学
* 益澤 尚子、柳澤 昭夫
京都府立医科大学 移植・再生外科学
昇 修治、牛込 秀隆、岡本 雅彦、吉村 了勇
大津市民病院 臨床検査部
浦崎 晃司

【目的】移植腎の針生検標本に糸球体門部小血管増生(glomerular polar vasculosis, GPV)が観察された場合、臨床医にコメントする意義があるか?をあきらかにする。
【対象】2007年1月〜2010年11月に当院で行われた生体腎移植症例のうち、血流再開後1時間時の生検に加え、約2週間〜1カ月後あるいは約1年後の生検が少なくとも一回行われている101例。対照として移植後5年以上が経過した症例や、腎臓内科から提出された尿所見に異常のある症例の針生検材料も検索した。
【結果】GPVは、1時間時の生検の19.8%(20例/101例)で認められた。内訳は、GPVを有する糸球体が1個、2個、3個見られる症例がそれぞれ16例、3例、1例であった。2週間〜1カ月後の生検を合わせると24.8%(25例)、1年後の生検を合わせると27.7%(28例)にGPVが観察された。GPV陽性を示す症例には年齢の高いドナーが多かったが、 血液検査データやBMI、血圧に有意差は見られなかった。移植後5年以上経過した症例の針生検でもGPVの頻度や数に変化は見られなかった。移植後の経過とGPVの有無に関連は見いだせなかった。尿所見に異常のある症例では移植腎の症例よりも多くの糸球体にGPVを認める症例が多く、これらは糖尿病や高血圧などとの関連があった。
【考察】移植腎であることは、針生検に観察されるGPVの頻度や数に特に関係しているとはいえず、GPVに移植の影響は乏しいと考えられる。移植腎でも、尿所見に異常のある腎でも、一般的な針生検で3個以上の糸球体にGPVが見られる時は有意に多いのでコメントする意義があると考える。

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