腎移植後30年以上生着した症例の組織学的検討

京都府立医科大学大学院研究科 移植・再生外科学
* 鈴木 智之、牛込 秀隆、坂井 利規、昇 修治、松山 昌秀、
岡島 英明、吉村 了勇
京都府立医科大学大学院研究科 臓器応答探索医学講座
松山 昌秀、吉村 了勇
京都府立医科大学大学院研究科 計量診断病理学部門
益沢 尚子
京都府立医科大学附属病院 臓器移植コーディネーター
串山 律子

【目的】免疫抑制療法の向上にともない、腎移植後の長期生着症例が増加してきている。当施設で腎移植を行い、30年以上生着した症例の移植後20年時に行った移植腎生検病理所見を検討したので報告する。
【対象】1970年4月から2011年4月までに当施設で腎移植を行った840例中、30年以上経過した症例は175例で、そのうち追跡できている生着中の症例12例を対象とした。
【結果・考察】症例の移植時年齢は26.2歳(14歳−37歳)で、ドナーは両親が8例、兄弟が3例、死体腎移植が1例、ドナーの平均年齢は45.7歳(28歳−60歳)あった。いずれも免疫抑制剤はCNI導入前であった。平均生着期間は33年5ヶ月、最長生着は38年3ヶ月であった。現在の平均クレアチニン値は1.9mg/dlであった。移植後20年時腎生検を行った症例は4例あり、33年2ヶ月、35年6ヶ月生着中の症例と28年5ヶ月、27年1ヶ月で機能廃絶した症例であった。生着中の症例は間質の線維化や尿細管の萎縮、糸球体硬化の所見はわずかであり、糸球体領域は萎縮していたが、メサンギウム領域の拡大は認めず、CAN gradeT(cg0 ci1 ct1)であった。20年以上生着後に機能廃絶した症例では、移植後20年時腎生検所見で、糸球体の硬化閉塞、細動脈壁の肥厚、間質の繊維化、尿細管密度の低下を強く認めた。原疾患の再発を疑われるものもあり、PAM染色で糸球体基底膜や動脈壁の肥厚がみられ、CAN gradeIII(ci3 ct3)であった。
【まとめ】移植後長期生着症例には、多彩な免疫学的、非免疫学的因子が関与しており、生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)を予防する等、個々の症例に応じて慎重に管理する必要であると考えられた。

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