移植腎に再発し、生検にて組織学的variantの変遷がみられた治療抵抗性の巣状糸球体硬化症の一例

東京女子医科大学 泌尿器科
* 平野 一、石田 英樹、清水 朋一、藤  方、尾本 和也、田邊 一成
東京女子医科大学 第二病理
本田 一穂

 症例は、35歳女性。
 22歳時に巣状糸球体硬化症(FGS)発症、31歳時に透析導入。今回、母親をドナーとした生体腎移植を行った。 血液型は一致、抗ドナーHLA抗体も陰性で免疫学的リスクは低かった。成人発症であり、発症から透析導入まで10年以上経過しており、移植後の再発に関してはハイリスク症例ではなかった。術前には血漿交換(PE)3回、rituximab投与を行い、予防措置を十分に行ったにもかかわらず、移植術翌日に、急激な尿量低下、高度の尿蛋白が出現した。ステロイドパルス療法、PEを施行した。腎生検施行、所見は、足突起の融合のみであり、FGSの初期像と考えた。治療抵抗性であり、rutuximab投与、さらにPEも追加施行した。しかしながら、反応性が乏しく腎機能は改善しなかった。術後78日目の再生検では、Columbia分類におけるcollapsing variantの所見を呈していた。acuteTMRの所見もあり、ステロイドパルス療法、PEに加え、OKT3も追加した。術後106日目の生検では拒絶反応は軽減していたが、FSGSに関してはcellurar variantの所見を呈しており、毎回異なるcolumbia分類上の組織学的variantを呈しており、本症例においては必ずしも同分類が妥当であったとはいえなかった。結局、腎機能 は改善せず、尿蛋白量も軽減しなかった。現在、移植後約1年経過しており、Crは3.0台で経過している。ここまでの治療抵抗性の経験は少なく、当科にて移植したFGS症例と比較し、組織学的検討ならびに文献的考察も加えて発表する。

戻 る  ページの先頭