移植腎に発生したGranulomatous tubulointerstitial nephritisの3例

市立札幌病院 腎臓移植外科
* 堀田 記世彦、和田 吉生、平野 哲夫、原田 浩
市立札幌病院 泌尿器科
佐々木 元、高田 祐輔、今 雅史、石崎 淳司、
高田 徳容、関 利盛、富樫 正樹
市立札幌病院 病理診断科
柳内 充、辻 隆裕、深澤 雄一郎

 Granulomatous tubulointerstitial nephritis(GIN)は自己腎では感染症、薬剤性、サルコイドーシス、Wegener 肉芽腫などの全身疾患が原因とされている。移植腎に発生するのは非常に稀で不明な点が多い。今回、移植腎に発生したGINの3例を経験したので報告する。症例1は47歳女性。17年前にCGNにて生体腎移植施行するも47日目にARにて移植腎喪失。今回献腎にて2次移植を行なった。初期免疫抑制はTAC、MMF、MPZ、basiliximabの4剤で、DSA陽性のためrituximabの投与を行なった。POD13の腎生検でAR IIbを認めMPZ pulse、DSGを投与した。その後、移植腎機能は発現しPOD18に透析離脱した。移植腎の経過は良好でS-Crは1.0mg/ml前後で推移したが、移植後6ヶ月の定期生検で間質に多核巨細胞を伴った肉芽腫様病変を認めた(i2,g1)。明らかな原因は不明で経過観察と したが6ヶ月後の生検では病変は消失していた。症例2は27歳の女性。CGNによる腎不全にて父親をドナーに血液型不適合の生体腎移植をPre-emptiveに行った。術前にrituximabを投与しTAC、MMF、MPZ、basiliximabで導入した。術後経過は順調でS-Crは1.0mg/ml前後で推移した。3ヶ月目の定期腎生検にて肉芽腫様病変を含む間質炎と尿細管炎を認めGINと診断した(t2,i1)。ARも否定できずMPZ pulseを施行し経過観察中である。症例3は37歳女性。CGNによる腎不全にて2ヶ月間の血液透析を経て母親をドナーに生体腎移植を行った。TAC、MMF、MPZ、 basiliximabで導入した。術後CNIのtoxicityのためCYAに変更した。S-Crは1.6mg/ml前後で推移したが15 ヶ月目に2.0mg/mlまで上昇したため腎生検を施行した。結果、肉芽腫の形成と巨細胞の出現を認める間質の線維化とリンパ球の浸潤を認めGINの所見であった。膀胱炎による抗生剤内服の既往があり原因の1つと考えられた。今後再生検を予定している。以上、移植腎に発生したGINの3例につき今後の臨床経過と病理的考察を行う。


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