当院における移植腎予後とProtocol biopsyの検討

京都府立医科大学大学院 移植・再生外科学
* 越野 勝博、牛込 秀隆、坂井 利規、鈴木 智之、昇 修治、
吉村 了勇
京都府立医科大学大学院 臓器応答探索医学講座
松山 昌秀、岡島 英明、吉村 了勇

 本院では現在、Protocol biopsyとして移植腎への血流再開後1時間(baseline biopsy)、術後1ヵ月及び1年にそれぞれ移植腎生検を施行している。今回、当院で施行された血液型不適合を含めた生体腎移植症例において2007年12月から2012年3月の間にProtocol biopsyを終了した87例で移植腎機能の臨床経過についてretrospectiveに検討した。87例の内、術後1年以内にEpisode biopsyを必要とした症例は23例であり、病理所見に基づいた治療により腎機能の廃絶に至る症例はなかった。術後1年以内にEpisode biopsyを必要としなかった64症例の内、術後1年以降にEpisode biopsyを施行した症例は5例であった。内訳として【原疾患】IgA腎症:2例 糖尿病性腎症:2例 不明:1例【血液型】一致:4例、不一致:1例であった。Episode biopsyは腎移植後17ヵ月から36ヵ月の間で施行され、その所見は①chronic active antibody-mediated rejection:1例、②acute T cell mediated rejection(TMR):1例、③chronic TMR:1例、④CNI toxicity:1例、⑤IF/TA Ⅱ:1例であり、①②③の症例でそれぞれ術後33, 25,41ヵ月に移植腎機能は廃絶した。腎移植後のProtocol biopsyをいつまで継続するかはいまだ議論の余地が残ると ころであるが若干の考察とともに当院での症例を報告する。

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