腎移植術後早期に再発性巣状糸球体硬化症を発症するも集約的治療で、進展が抑制されている一例

東京都保健医療公社 大久保病院
* 中山 一誠、長谷川 純平、星野 慈恵、井上 宙哉、亀井 唯子、
関澤 京、山田 慶、安井 由紀子、加賀 俊江、阿部 恭知、
遠藤 真理子、若井 幸子、白川 浩希
東京女子医科大学 第二病理
本田 一穂
東京女子医科大学 泌尿器科
尾本 和也

【症例】23歳女性 20XX年11月(17歳)、ネフローゼ症候群を発症。ステロイド治療、シクロスポリン、LDL吸着療法に抵抗性を示した。経過中2回の腎生検を施行して、minor abnormalityのみで免疫グロブリンの沈着はなく、巣状糸球体硬化症(FSGN)が疑われた。20XX年10月、末期腎不全で血液透析導入。20XX年、小腸出血をきたし、血小板減少、関節炎、顔面紅班、抗ds-DNA抗体陽性、抗Sm抗体陽性を伴い、SLE関連腸炎と診断され、輸血、プレドニン治療が行われた。20XX年父親をドナーに血液型不一致生体腎移植施行。
 術後4日目に17g/日の蛋白尿出現。FSGNの再燃と診断。血漿交換、リツキサン、ステロイドパルス、LDL吸着、LCAP療法など集約的治療を施行した。継時的に4回の腎生検を施行した。
 光顕所見では、尿うっ滞やCNI尿細管毒性が徐々に出現するものの、いずれの腎生検でも、糸球体病変はない。電顕所見では、1回目(術後22日):上皮細胞足突起の腫大、2回目(術後56日):上皮細胞の剥離、空砲変性があり、FSGNの初期病変を認めた。3回目(術後201日)、4回目(術後405日):上皮細胞障害は軽減してきている。蛋白尿は依然2g/日前後持続しているが、eGFR70ml/minと保たれ、FSGN病変は抑制できていると考えられる。


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