重複生検が可能であった血管型拒絶反応の病理学的検討

山口病理組織研究所
* 山口 裕
東京女子医科大学 泌尿器科
* 田邊 起、田邊 一成

 移植腎への免疫抑制法の最近の進歩により拒絶反応の頻度がかなり減少して来たが、血管型拒絶反応を時に認め、治療が奏功せずgraft lossに至る。その要因は以前と異なると思われ、その病理診断も病変のある動脈壁がないと困難である。最近に見られた血管型拒絶反応例を検討、解析した。

【対象】急性血管型拒絶反応の病理学的に認め、その後再生検出来た7例である。

【方法】通常の光顕的な検討を行い、小葉間動脈と弓状動脈を分けてその程度と進展を検討した。

【結果】39-69歳、男6、女1例で、移植後の生検は24日から1346日、重複生検は2回から4回。急性抗体関連拒絶反応1例、混合型2例、急性T細胞性拒絶反応4例。小葉間動脈2ヶ所から16ヶ所観察され、その中1ヶから3ヶ所にv1、v2を認め、治療後cv0が4例に見られた。弓状動脈は1ヶ所から4ヶ所に観察され、その中で1ヶから3ヶにv1、v2を認め、治療後cv1、cv2が6例に見られた。1例のみがgraft lossした。

【考察】血管型拒絶反応の病変を小葉間動脈と弓状動脈に分けて観察すると、治療後弓状動脈で慢性化が持続した。

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