プロトコル生検における腎移植後動脈内膜病変(chronic allograft artriopathy;cv lesion)の検討:免疫学的慢性拒絶反応か、accelerated arteriosclerosisか

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 武田 朝美、堀家 敬司、大塚 康洋、稲熊 大城、新城 響、
掛下 幸太、村田 実奈子、後藤 憲彦、南木 浩二、辻田 誠、
平光 高久、山本 貴之、渡井 至彦、両角 國男

 腎移植後動脈内膜病変は、単核球浸潤を伴って線維性の新生内膜肥厚を呈してくるもので慢性活動性T細胞関連型拒絶反応(CATMR)および慢性活動性抗体関連型拒絶反応(CAAMR)の所見としてBanff分類では定義されている。しかしcv病変を呈してくる病態については、明確な合意は形成されていない。当院における2002年以降の移 植腎生検組織の中でcv1、cv2、cv3病変を呈した症例の臨床病理学的な検討から、cv病変についてその病態を明らかにすることを目的とした。
 特徴的なcv病変を6か月および1年のプロトコル生検において呈し、光顕診断上で急性拒絶反応像なくcg病変なくPTC壁の肥厚・多層化病変を認めない症例があり、これらをisolated cv lesionと考えた。cv病変は小葉間動脈から弓状動脈に出現した。
 6か月および1年生検でcv病変を34例で診断し、isolated cv lesionと考えられたのは23例(68%)でABO血液型不適合12例と夫婦間移植12例(重複あり)が含まれていた。それ以外のcv病変(21例)ではABO不適合および夫婦間移植が1例、pre-DSA1例、de novo DSA1例を含んで、遷延する急性拒絶反応所見、micro-circulation inflammation(PTC-itis, glomerulitis)、慢性活動性抗体関連型拒絶反応(CAAMR)所見を伴っており、免疫学的慢性拒絶反応を基礎に持つ病態と考えられた。
 移植後早期のcv病変をT細胞関連型拒絶反応の進展による所見とするだけでなく、DSA症例でのaccelerated arteriosclerosisとして捉える提案がBanff会議でなされている。今回の検討ではisolated cv lesionとして分類してもABO不適合移植や夫婦間移植など免疫学的ハイリスクな病態を基礎としている症例が多かった。Isolated cv lesionを呈した症例の臨床的背景を解析するとともに、ABO不適合移植例で早期にcv病変を呈した群の特徴を検討する。

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