移植後早期に再発したIgA腎症の1例

市立札幌病院 泌尿器科 腎臓移植外科
* 宮田 遥、佐々木 元、千葉 博基、川口 愛、中村 美智子、
田中 博、福澤 信之、関 利盛、富樫 正樹、原田 浩
北海道大学 腎泌尿器外科学
堀田 記世彦
市立札幌病院 病理診断科
深澤 雄一郎

【症例】43歳、男性。IgA腎症による慢性腎不全にて16年間の血液透析を経て、生体腎移植を施行した(ドナーは45歳の姉で、血液型適合、HLA4ミスマッチ)。免疫抑制剤はバシリキシマブ、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、メチルプレドニゾロン(MPZ)で導入した。MPZは3日間で中止した。移植後の腎機能発現は良好で、 移植後4日目には血清クレアチニン(Cre)は1.62mg/dlまで低下した。しかし移植後9日目にCre1.85mg/dlと上昇したため、腎生検を施行するとボーダーラインチェンジであった。MPZパルスを施行し、Cre1.45mg/dlと改善した。移植後3ヶ月目に2g/日の蛋白尿の出現とCre1.95mg/dlと上昇を認め腎生検を施行したところIgA腎症の再発と診断された。MPZパルスを施行したが、組織像の改善は得られず、両側扁桃摘出術を行い、MPZパルス治療を3コース追加した。全治療終了後5ヶ月で腎生検を施行し、組織像の改善を確認した。Creは1.5mg/dl、蛋白尿は0.9g前後で安定に経過している。移植後3ヶ月目でのIgA腎症の再発は極めて稀と思われ文献的考察を行い報告する。


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