移植後の膜性腎症の2例

市立札幌病院 泌尿器科 腎臓移植外科
* 佐々木 元、福澤 信之、千葉 博基、川口 愛、中村 美智子、
田中 博、関 利盛、富樫 正樹、原田 浩
市立札幌病院 病理診断科
深澤 雄一郎

【症例1】37歳女性(A型)、62歳母(O型)をドナーに腎移植を施行。原疾患はSLE。HLA3ミスマッチ、CDCXM陰性、FACSXM陰性であった。シクロスポリン、アザチオプリン(Az)、ステロイドの3剤で免疫抑制導入とした。経過中、狭心症にてPTCAとCABG、胸部大動脈瘤にて血管内治療、眼底出血にてレーザー治療を施行。ステロイド長期暴露のため、減量投与とし、Azからミコフェノール酸モフェチル(MMF)へ変更した15年目のプロトコール生検にて膜性腎症の所見を認めた。

【症例2】56歳男性(B型)、47歳妻(O型)をドナーに先行的腎移植を施行。原疾患は不明。HLA3ミスマッチ、CDCXM陰性、FACSXM陰性であった。タクロリムス、MMF、ステロイド(早期離脱)、バシリキシマブの4剤で免疫抑制導入とした。HBVキャリアにて移植後よりエンテカビル内服とした。移植後5日でATMRⅠAありステロイドパルスと塩酸グスペリムス投与を行った。術後1年半後に胃癌の診断となり胃切除を施行した。腎機能は安定であったが移植後3年半後に突如sCre1.45mg/dl、Up/Ucr2.21と上昇ありエピソード生検施行にて膜性腎症の所見を認めた。なおC4dはPTCにびまん性に陽性であり、後にDSAが証明されステロイド導入となった。生検直後には、sCreと蛋白尿は前値に戻った。移植後のde novo膜性腎症は稀と思われ、若干の文献的考察を加え報告する。


戻 る  ページの先頭