BKV腎症およびplasma cell-rich rejection加療後にFSGSおよび抗体関連型拒絶反応が疑われた1例

東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科
* 中田 泰之、山本 泉、丹野 有道、山本 裕康、三留 淳、 小林 賛光、
眞船 華、西川 元、横尾 隆、早川 洋、宮崎 陽一、横山 啓太郎、
細谷 龍男
山口病理組織研究所
山口 裕

 症例は38歳男性。原疾患不明の慢性腎不全で2009年9月透析導入となり、2010年9月30日に母親をドナーとする血液型適合移植を施行した。移植後2ヶ月目のプロトコール腎生検(血清Cr1.35mg/dl)でBKV腎症が判明し、免疫抑制剤減量により移植後3ヶ月目の腎生検で組織学的改善を得た。しかし、移植後4ヶ月目に血清Cr3.4mg/dl、蛋白尿8.6g/dayと腎機能の悪化と高度蛋白尿が認められ、腎生検にてplasma cell-rich rejectionを確認したため、ステロイドパルス療法および免疫抑制剤増量にて血清Cr1.7mg/dl、蛋白尿1.8g/dayまで改善を得た。その後、外来通院となっていたが、高度蛋白尿の持続(3.7 〜 6.5g/day)が認められたため、移植後6ヶ月目に再度腎生検目的に入院となった。腎生検では、巣状分節性に糸球体係蹄内の泡沫細胞や上皮細胞の脂肪滴変性が認められ、随伴して、中等度の糸球体炎および中等度の傍尿細管毛細血管炎とともに、糸球体係蹄の部分的な二重化および傍尿細管毛細血管の肥厚が認められた(傍尿細管毛細血管におけるC4dは陰性)。急性抗体関連型拒絶反応及びFSGSの合併と考え、ステロイドパルス療法を施行したところ、移植後7ヶ月目の腎生検において、巣状分節性病変は硬化し、糸球体炎と傍尿細管毛細血管炎の改善が認められた。移植後1年目のプロトコール生検も同様の所見であった。現在移植後1年7ヶ月目で血清Cr2.1mg/dl、蛋白尿0.44g/dayと経過良好である。BKV腎症ならびにplasma cell-rich rejection加療後にFSGSおよび抗体関連型拒絶反応を疑う所見が認められ、その管理に苦慮した1例を経験したので報告する。


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