細胞性拒絶反応に尿路感染による尿細管間質炎やCNI尿細管毒性が加わり腎機能低下を繰り返した腎移植症例

東京都保健医療公社 大久保病院 腎臓内科
* 長谷川 純平、星野 慈恵、亀井 唯子、関沢 京、山田 慶、
中山 一誠、安井 由紀子、加賀 俊江、白川 浩希、阿部 恭知、
遠藤 真理子、若井 幸子
東京女子医科大学 泌尿器科
尾本 和也
東京女子医科大学 第二病理
本田 一穂

【症例】66歳男性。原疾患は糖尿病性腎症で20XX年4月に血液透析導入となった。4年後の20XX年8月に妻をドナーとする血液型適合生体腎移植術を施行した。術後15日で脳梗塞を発症し、その後意識障害が遷延した。Cr1.0から1.5mg/dlと腎機能の悪化があり腎生検で細胞性拒絶反応の診断、ステロイドパルス及びスパニジン投与を施行し 腎機能は改善した。しかし尿路感染症、心不全増悪と共に腎機能悪化を来し、腎生検では細胞性拒絶反応の持続か尿路感染症による尿細管間質炎かの鑑別が問題であった。その後ステロイドパルス(計4回)及びスパニジン投与(計3回)と抗生剤治療によりCr2mg/dl前後で安定した。計5回の腎生検を施行したが、4、5回目には、細胞性 拒絶反応は消失し、カルシニューリン阻害剤による尿細管毒性が出現してきた。腎移植後に起こる腎機能悪化には様々な原因があり、本症例では細胞性拒絶反応に尿路感染症による尿細管間質障害、カルシニューリン阻害剤毒性による尿細管障害が加わったものと考えられた。細胞性拒絶と尿路感染症の鑑別を中心に臨床経過と合せて 報告する。


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