生体腎移植後早期の移植腎生検にてIgA腎症再発と診断され、約2年で末期腎不全となった1例

戸田中央総合病院
* 瀬戸口 誠、川島 洋一郎、溝口 翔悟、東間 紘
埼仁クリニック
川島 洋一郎
山口病理組織研究所
山口 裕
東京女子医科大学 泌尿器科
田邉 一成
済生会栗橋病院
瀬戸口 誠

 症例は61歳男性。1998年、血尿が出現し、IgA腎症と診断された。2006年9月、血液透析導入。2010年11月12日、妻をドナーに血液型不一致生体腎移植術を施行した。免疫抑制はtacrolimus(Tac)、mycophenolate mofetil(MMF)、methylprednisolone(MP)、basiliximabとした。移植後2週間後の移植腎生検でIgA腎症再発と診断され、以後も尿潜血陽性が持続した。移植後6 ヵ月後、sCr1.56mg/dl、移植腎生検でも結果は同様であったため、2011年8月、扁桃腺摘除術を施行した。移植後1年後、sCr2.0mg/dl、移植腎生検ではIgA腎症再発に加え、毛細血管内の細胞浸潤が認められるようになった。2012年8月、sCr2.76mg/dl、尿蛋白2.0g/dayとなり、rituximab200mg投与を行ったが、病勢の進行は抑えることができず、移植後2年後の移植腎生検では、1.IgA腎症再発及び分葉化、2.IF/TA, moderate、3.transplant glomerutitis, severeであった。2013年4月、sCr8.02mg/dlと末期腎不全の状態である。これほど急速に移植後再発し、末期腎不全に至るIgA腎症は珍しく、症例を提示した。


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