BKウイルス腎症19例の臨床病理学的検討

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 武田 朝美、堀家 敬司、大塚 康洋、新城 響、村田 実奈子、
稲熊 大城、後藤 憲彦、山本 貴之、平光 高久、辻田 誠、
鳴海 俊治、渡井 至彦、両角 國男

 2002年以降当センターにおいて19例のBKウイルス腎症を診断しており、その臨床病理学的特徴をまとめた。
 レシピエント19例は男性18例/女性1例で平均年齢50.9歳(14歳-73歳)、ドナーは男性1例/女性16例/不明2例で平均年齢56歳(36歳-71歳)、死体腎移植3例/生体腎移植16例(夫婦間移植10例、ABO不適合移植5例)であった。診断契機となった移植腎生検は移植後195日(中央値、86日-1814日)で施行され、平均Cre=2.1mg/dl、9例は6か月または1年のプロトコル生検であった。導入免疫抑制剤は、10例がシクロスポリン+MMF、9例がタクロリムス+MMFであり、2006年以降の症例はバシリキシマブも使用していた。19例中4例が移植腎機能喪失(7カ月-6年)したが、15例はCre=2.2mg/dl程度で機能維持できている。
 病理組織学的には、Banff ワーキンググループ分類でのclass-Aが3例、class-Bが15例、class-Cが1例であり、急性拒絶反応の合併を2例に認めた。全例、SV40染色によりBKウイルス感染細胞を確認できた。尿細管基底膜にC4d顆粒状陽性所見を呈する症例を6例に認めた。
 最近数年間でBKウイルス腎症発生は再び増加しており、移植腎予後のためには確実な診断により治療戦略を立てることが重要となる。

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