腎移植後BK腎症に対してシドフォビル(CDV)が奏功後、長期経過した1症例

京都府立医科大学大学院 移植・再生外科学
* 牛込 秀隆、中尾 俊雅、原田 俊平、越野 勝博、坂井 利規、
鈴木 智之、昇 修治、吉村 了勇

 原疾患IgA腎症の女性、51歳時に透析歴30年で50歳夫をドナーとしたABO血液型不一致生体腎移植を施行した。FK、MMF、PSLの3剤併用免疫抑制導入維持を行い、sCr 0.6mg/dlで退院した。外来でsCr 1.0mg/dlの軽度の上昇あり、近医で移植後4ヶ月目にステロイドパルス療法を受けたが、その後もsCr 1.4mg/dlまで上昇が続き、移植後5ヶ月目に当科で腎生検を施行、ウイルス封入体を伴う尿細管炎、尿沈渣でデコイ細胞、血清PCR検査にてBKVDNAの上昇を確認し、BK腎症と診断した。FK、PSLの減量およびMMFをMZに変更を行った悪化し、移植後8ヶ月でCDVを開始、移植後1年目の腎生検で尿細管炎の軽快、尿中デコイ細胞の消失、血清PCRのBKV DNAの改善を認めた。腎毒性もなく、その時点で血清sCr値は2.3mg/dlで安定した。移植後約5年、CDV治療後約4年の腎生検施行、一部メサンギウム領域の拡大、蛍光抗体法でIgAの沈着、電子顕微鏡でdense depositを確認し、軽度のIgA腎症再発と診断した。sCrや尿検査に変化はなく、扁摘の同意が得られず経過観察とした。現在、移植後8年4か月、CDV治療後7年半が経過し、sCr値は、1.8mg/dlと安定している。

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