腎移植後の糸球体容積の変化とその臨床病理学的意義

東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
* 小林 賛光、三留 淳、山本 泉、山川 貴史、眞船 華、中田 泰之、丹野 有道、 大城 戸一郎、坪井 伸夫、横山 啓太郎、横尾 隆
厚木市立病院
山本 裕康

【背景・目的】移植腎機能は、拒絶反応や薬剤性腎障害、再発性腎炎のみならず、移植後の血流の変化によってもたらされる糸球体過剰ろ過に起因する糸球体腫大・硬化などの影響を受ける。また移植時における糸球体腫大は、その後の移植腎機能には負の影響を与えることが知られているが、移植後の継時的変化についての検討は少ない。今回、我々は移植後の糸球体容積の変化とその臨床病理学的意義につき検討した。
【方法】生体腎移植後、拒絶反応などなく安定した腎機能を維持できている23例につき、移植時(0, 1hr)と1年目のプロトコール生検の検体を用いて、糸球体容積(GV、Weibel-Gomez法)、糸球体密度(GD)を算出し、その変化と腎機能、蛋白尿、腎血流量との関連性について調べた。腎血流量の評価はレノグラム(Tc-99m MAG3)を用いて有効腎血漿流量(ERPF)を測定した。
【結果】移植1年後にGV、ERPFは有意な増加を認めた。一方で蛋白尿は移植後1年で有意に減少し、Δ尿蛋白(移植後1年−1か月)とΔGVとに相関性を認めた(P<0.05, rs=−0.467)。
【結論】腎移植後1年ではGV増加は腎移植後の血流増加等に対するrenal adaptationとして蛋白尿減少に関与している可能性が示唆された。
 

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