慢性血管型拒絶反応についての臨床病理学的検討

戸田中央総合病院 腎センター 移植外科
* 清水 朋一
戸田中央総合病院 腎センター 泌尿器科
北嶋 将之、石郷岡 秀俊、藤森 大志、池澤 英里、東間 紘
東京女子医科大学 泌尿器科
石田 英樹、 田邉 一成
東京女子医科大学 第二病理
本田 一穂
川崎市立多摩病院 病理
小池 淳樹

【目的】今回慢性血管型拒絶反応について臨床病理学的に検討した。
【方法】慢性血管型拒絶反応をBanff分類のBanff scoreでの動脈内膜の線維性肥厚の指標であるcvと定義した。2009年1月〜2013年12月で東京女子医大泌尿器科での移植腎生検において、cv score≧1と診断されたのは36症例の46検体であり、これを対象とした。
【結果】cvの診断は移植後平均1443日(80日〜8318日)にされた。cv1は23検体に認め、cv2は17件体、cv3は6検体に認めた。動脈内膜炎(Banff scoreでv≧1)の併存を13検体(28.2%)に認め、間質炎(i≧1)は18検体(39.1%)に認めた。尿細管炎(t≧1)は10検体(21.7%)に認めた。Microvascular injury(MVI)をg ptc≧1とすると33検体(71.7%)と高率に認めた。MVIでもg≧1かつptc≧1では16検体(34.7%)であった。C4d≧2は27検体(58.7%)に認めた。IF/TAは37検体(80.4%)と高率に認めた。cg≧1は13検体(28.2%)に認め、傍尿細管毛細血管基底膜の多層化(ptcbm)は24検体(52.1%)に認めた。ah≧1は34検体(73.9%)、aah≧1は17検体(37.0%)に認めた。中位動脈の動脈硬化は全例に認め、中等度以上は37検体(80.4%)であった。血管病変のみでi=0、t=0、g=0、ptc=0、cg=0、ptcbm=0(isolated-cv)は、9検体(19.6%)に認め、なおかつC4d陰性は7検体(15.2%)に認めた。
【結論】慢性血管型拒絶反応は6~7割は慢性抗体関連型拒絶反応が関与していると思われる。2〜3割は慢性T細胞型拒絶反応が関与していると思われる。血管病変だけのisolated-cvも1~2割に認められ、単なる動脈硬化との鑑別も難しいと思われる。

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