C4d陰性AMRについての検討

東京女子医科大学 泌尿器科
* 崔 啓子、尾本 和也、石田 英樹、田邉 一成、尾本 和也、石田 英樹、田邉 一成
北海道大学 泌尿器科
田邉 起
戸田中央総合病院 泌尿器科移植外科
清水 朋一
大久保病院 泌尿器科移植外科
白川 浩希
東京女子医科大学 第二病理学
本田 一穂

【背景と目的】腎移植後の抗体関連型拒絶(ABMR)の診断にはBanff分類で、病理所見上傍尿細管毛細血管(PTC)へのC4d沈着が必要とされてきたが、近年C4d陰性ABMRの存在の報告が増加し、昨年のBanff会議でC4d陰性ABMRがBanff分類に組み込まれることが提唱された。
 この背景のもと当院におけるC4d陰性ABMRの臨床的、組織学的特徴を検討した。
【方法】2005年〜2011年の間、当院及び関連施設において腎移植の行われた626人の患者のうち、ABO不適合移植であった174人を除いた患者の臨床経過及び病理生検を2012年末まで分析した。
【結果】生検は1027回行われた。
【毛細血管内炎症(MVI)】217生検(21%)においMVIを認めた。うちC4d陽性は62生検(29%)であった。
【急性ABMR】急性ABMRをC4d陽性、C4d陰性の生検に分類して比較検討を行った。
 92生検(39人)で急性ABMRと診断された。このうち53検体(58%)でC4d陽性、39検体(42%)でC4d陰性であった。
 急性ABMRの39人の患者を以下の3群に分類した。Group A(N=19):急性ABMRの全ての生検においてC4d陽性であった患者、Group B(N=14):急性ABMRの全ての生検においてC4d陰性であった患者、Group C(N=6):C4d陽性、陰性の急性ABMRの生検が混在する患者。
 結果、ptc、g scoreともgroup Aで有意に高値であった。eGFR値は3群で差を認めなかった。慢性ABMRへの進行は3群で差を認めなかった。
【結論】C4d陰性急性ABMRの頻度は多く、臨床特徴はC4d陽性急性ABMRに類似し、同様に慢性ABMRへ進行する。

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