腎移植後カルシニューリン阻害薬細動脈病変に対するエベロリムス導入・タクロリムス減量の検討

札幌北楡病院 腎臓移植外科
* 三浦 正義、東山 寛、玉置 透
札幌北楡病院 泌尿器科
三浦 正義
市立札幌病院 病理診断科
深澤 雄一郎

【目的】カルシニューリン阻害薬細動脈病変(CNIA)は移植腎長期予後不良の因子となりうる。腎移植後維持期にCNIAを発症した症例に対するエベロリムス(EVR)導入・タクロリムス(TAC)減量の効果を検討した。
【方法】対象は腎移植患者12例。介入時期は腎移植後9-89か月(平均43か月)。全例TACミコフェノール酸モフェチル(MMF)を投与中で、4例がステロイド離脱していた。全例プロトコール生検でCNIAを認めた症例で、6例で新規発症、6例でaahスコアの悪化があり介入した。介入後1年の時点でプロトコール腎生検を再検した。前後のTACトラフレベル(TACC0)、EVRトラフレベル(EVRC0)、病理所見、推算糸球体濾過率(eGFR)、尿蛋白、有害事象について検討した。
【結果】4例でaahスコアが改善した。8例において不変で、スコアが上昇した例はなかった。aah3の症例ではスコアが改善した症例はなかった。TACC0は前平均4.2から後3.4ng/mLに減少した。最終のEVRC0は平均3.9ng/mLであった。eGFRは前43.4、後47.7であった。尿蛋白は前0.22、後0.27g/gCrであった。aahスコア改善のない1例で有害事象でEVRを中止した。3例で下肢浮腫、2例で口内炎でEVRを減量した。
【結語】EVR導入、TAC減量により、組織学的にCNIAを改善させることができる可能性が示された。

戻 る  ページの先頭