好酸球増加を伴った急性拒絶の1例

恵寿総合病院 内科
* 向井 清孝
金沢医科大学病院 腎臓内科
向井 清孝、岡田 圭一郎、中山 佳苗、久保 幸美、松浦 寿一、沖野 一晃、正島 季代、 松井 祐樹、井村 淳子、藤本 圭司、渥美 浩克、足立 浩樹、奥山 宏、山谷 秀喜、 横山 仁

 症例は65歳、男性。45歳時より糖尿病、高血圧のため近医受診し加療中であり徐々に腎機能が低下し64歳時に透析導入され、65歳時に妻をドナーとする生体腎移植術を施行した。免疫抑制剤はPSL、MMF、CyA、Basilliximabを使用し、1か月後の腎生検ではボーダーラインであり、血清Cr1.33mg/dlのため経過観察された。10週目の採血にて血清Cr1.99mg/dlと移植腎機能低下が認められ、急性拒絶疑いにて腎生検のため当院入院となった。
 病理所見にて1cm程度の被膜の肥厚、被膜では多数の好酸球の浸潤、髄質にも間質に軽度の好酸球浸潤が認められた。中等度の尿細管炎を合併し、軽い尿細管萎縮も認められ、間質の線維化は軽度であった。Banff分類にt2、i2、g0、v0、ptc2であり急性拒絶1Aと診断された。末梢血にても組織においても好酸球の増加が認められたため、好酸球性急性拒絶としてmPSL500mg×3days施行した。その後、腎機能は改善を認め、1年後ワークアップでの病理組織では、被膜、髄質にも好酸球は認められずリンパ球の浸潤も軽度であった。Banff分類ではt1、i0、g1、vo、ptc1の診断で急性拒絶は認めらなかった。好酸球増加を伴う急性拒絶は最近の報告は少なく、文献的考察を加えて報告する。


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