移植後8年目に大量の蛋白尿が急激に出現、IFTA進行の関与が疑われたクロスマッチ陽性生体腎移植患者の一例

愛媛県立中央病院 泌尿器科
藤方 史朗、岡本 賢二郎、塩崎 啓登、尾崎 啓介、辻岡 卓也、飯尾 浩之、西村 謙一、谷本 修二、山師 定、菅 政治
愛媛県立中央病院 病理診断部
前田 智治
衣山クリニック
大岡 啓二、岡本 正紀

【患者】70代女性。
【現病歴】糖尿病腎症による慢性腎不全に対して2007年5月夫をドナーとする血液型不一致生体腎移植施行。移植前クロスマッチでBcell陽性であり術前PEX+Rituximab投与施行。2010年7月の時点でCr1mg/dlで安定していたが、尿蛋白1g/day認め腎生検にてBorderline change(ci1, ct1, cg1, cv1, ah1, ptc1)と診断され、MMF増量で経過観察していた。2012年2月Crは1.1mg/dlで安定していたが尿蛋白2g/dayと増加し腎生検施行。IFTA(ci1, ct2,cg1, cv1, ah1, ptc1)と診断された(鑑別はchronic AMR)
 IVIG施行した所尿蛋白1.5g/dayに減少しその後Cr値、尿蛋白共状態は横ばいであった。2014年12月頃よりCrの軽度上昇(1.1→1.3mg/dl)尿蛋白の急激な増加(1.5→10g/day)を認め腎生検施行。Banff(ci2, ct3, cg3, cv0, ah1, ptc1)と間質及び糸球体を中心とした病理所見の増悪を認めた。今回の臨床経過についてchronic AMRによると思われるIFTAの進行が原因と考えられた。一連の経過について臨床経過を含めて報告し、今後の治療介入を含めご意見をいただきたいと考えている。


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