戸田中央総合病院におけるIF/TA症例の検討

戸田中央総合病院 腎センター 移植外科
* 清水 朋一
戸田中央総合病院 腎センター 泌尿器科
林田 章宏、藤森 大志、池澤 英里、飯田 祥一、東間 紘
東京女子医科大学 泌尿器科
石田 英樹、田邉 一成
東京女子医科大学 第二病理
本田 一穂
川崎市立多摩病院 病理
小池 淳樹

【目的】Interstitial fibrosis and tubular atrophy(IF/TA)はBanff ‘05でchronic allograft nephropathy(CAN)にとって代わった移植腎病理組織像である。IF/TAは拒絶に伴うものと拒絶とは関係ないものとに分けられるが十分な理解は得られていない。今回我々は当施設におけるIF/TA症例を臨床病理学的に検討した。
【方法】2014年1月から2015年3月までに戸田中央総合病院において施行した移植腎生検においてIF/TAを認めた35症例の43病理組織標本(biopsy specimen: BS)を対象とした。
【結果】移植腎生検は移植後平均2年8ヶ月で施行されていた。IF/TAは軽度(Banff score: ci 1 and/or ct1)が28BS(65%)、中等度(ci2 and/or ct2)が13BS(30%)、高度(ci3 and/or ct3)が2BS(5%)であった。35例中拒絶反応の既往は20例(57%)あり、T細胞関連型拒絶反応(TCMR)のみが5例、抗体関連型拒絶反応(AMR)のみが14例、TCMRAMRが5例であった。拒絶反応に伴うIF/TAは15BS(35%)あり、カルシニューリン阻害薬の慢性毒性(Banff ‘aah’score)に伴うIF/TAは12BS(28%)、髄放線障害(medullary ray injury)に伴うIF/TAは18BS(42%)に認めた。慢性毒性と髄放線障害を両方認めたIF/TAは5BS(12%)であった。
 非特異的なIF/TAは9BS(21%)に認めた。
【結論】IF/TA症例の6割が拒絶反応の既往があり、組織障害の後遺症の可能性が示唆された。IF/TAにおいて、拒絶反応に伴うものが3割、髄放線障害に伴うものが3 〜 4割、カルシニューリン阻害薬の慢性毒性によるものが2〜3割、非特異的なものが2割であった。


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