腎移植後に膜性腎症(de novo)から再発性Lupus腎炎へと変化した一例

戸田中央総合病院 腎臓内科
* 佐藤 啓太郎、杉浦 尚子、田中 陽一郎、江泉 仁人、井野 純
戸田中央総合病院 泌尿器科
清水 朋一
山口病理組織研究所
山口 裕

 症例は40歳女性。1995年ループス腎炎を原疾患にHD導入、1997年韓国にて父親をドナーとした生体腎移植を施行した。2008年に日本へ移住、2010年1月に通院・内服を自己中断していた。2010年11月に高度腎機能低下を認めたためHD再導入、腎生検の結果はCNI毒性の強い廃絶腎であった。
 2012年1月20日、56歳母親をドナーとした二次移植を施行した。0hr腎生検では持ち込み腎症は認めなかったが、移植後6ヶ月経過時の腎生検のIFにてIgGがperipheralに顆粒状沈着、SABにてC5b9の沈着を認めた。電顕ではdense depositは認めなかったが、膜性腎症の発症が疑われた。IgGサブクラスの免疫染色ではG1、G3で陽性であった。その後1年後、2年後の腎生検では膜性腎症の初見は認めず、3年後の腎生検にて糸球体基底膜にfocalsegmentalに二重化を認め、IFにてIgG、C1qがmesangial、peripheralに沈着を認めることから、Lupus腎炎の再発が疑われた。経過を通じて尿蛋白や血清学的なSLEの再燃を疑わせる所見は認めなかった。
 臨床的に尿蛋白や血清学的な所見は認めないにもかかわらず、腎生検にて移植後6か月時に早期膜性腎症を認め、一旦軽快し、移植後3年後に再発性Lupus腎炎と変化した一例を経験したので報告する。


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