プロトコール生検で診断されたTMAの1例

市立札幌病院 腎臓移植外科
* 福澤 信之、和田 吉夫、原田 浩
市立札幌病院 泌尿器科
樋口 まどか、川口 愛、鈴木 英孝、丸 晋太郎、秋野 文臣、田中 博、
関 利盛
市立札幌病院 泌尿器科
深澤 雄一郎

 腎移植後のプロトコール生検でTMAと診断された1例を報告する。
 症例は63歳、女性。妹をドナーに生体腎移植を施行した。抗ドナー抗体陽性(DR9)であり、術前にリツキシマブ200mg投与、血漿交換3回施行、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、エベロリムス、バシリキシマブを使用し、メチルプレドニゾロンは3日間で中止するプロトコールを用いた。周術期合併症は認めず移植腎機能はCr 1mg/dlで安定し、尿タンパクは陰性であった。1、6 ヶ月目のプロトコール生検では軽度のCNI arteriolopathy認めタクロリムスを減量した。移植腎機能はCr 0.9mg/dlと安定していた。しかし1年目のプロトコール生検では細動脈では血栓が散見され、内膜の肥厚により内腔が高度に狭窄した血管も認めTMAの所見であった。またカラードプラ超音波所見において移植腎血流は保たれておりCr 1.0mg/dlと移植腎機能低下も認めなかったが尿中ある部員指数が135mg/g・Crと高値を示していた。このときのタクロリムスのAUC目標値が145ng/ml・hrと高値であり、病理では細動脈の硝子化が中等度にみられCNI arteriolopathyの病理診断が得られ、CNI副作用としてタクロリムスを減量した。その3週間後の尿中アルブミンは速やかに減少していた。今後再生検を行う予定である。


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