腎移植後5年目に診断しえたApo A-1 アミロイドーシスの一例
A case of Apo A-1 amyloidosis diagnosed by episode biopsy 5 years after kidney transplantation

増子記念病院 腎臓内科
* 堀家 敬司
増子記念病院 腎臓内科・移植外科
片山 昭男、両角 國男
名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
武田 朝美

【症例】60才代女性
【病歴】
04年腎機能低下を指摘。
06年視力低下あり、眼科受診。眼底出血あり。内科紹介にて慢性腎不全を指摘される。
08年12月腹膜透析導入。
10年7月ドナーを夫とした生体腎移植施行。
移植後1年のプロトコール生検にて大きな問題なく、その後もCr 1.0-1.2mg/dLにて安定。
15年に入りCr上昇傾向。検尿異常は認めず。
8月移植腎生検施行。
糸球体および尿細管への被膜直下から皮髄境界まで、間質を主体とした均質の沈着物が認められた。糸球体および尿細管への沈着は認めず。congo red陽性、偏光顕微鏡所見からアミロイドーシスと診断した。電顕所見でもアミロイド線維が確認された。
検査所見よりALおよびAAアミロイドーシスは否定的であり、mass spectrometryにて、Apo A-1 アミロイドーシスと診断された。
遺伝子解析を行い、病因と考えられるヘテロ接合体遺伝子変異を2か所検出し得た。
【結語】Apo A-1 アミロイドーシスは遺伝子変異により種々の臓器障害を起こし得るが、本症例では移植腎のみであり、他臓器障害は認めなかった。
原疾患は不明であったが、再発の可能性も考慮された。

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