高齢ドナーからの生体腎移植における動脈硬化病変の変化と腎機能の推移
Arteriosclerosis pathological change and kidney function in a living kidney transplant with an old donor

京都府立医科大学 移植・一般外科
* 松山 剛久、牛込 秀隆、増田 康史、原田 俊平、中村 緑佐、
越野 勝博、昇 修治、飯田 拓、吉村 了勇

【目的】高齢ドナーからの生体腎移植において動脈硬化性病変と腎機能の推移を検討する。
【方法】当院における過去10年間(2006年〜 2015年)の生体腎移植のうち、高齢ドナー(65歳以上)からの生体腎移植は49例であった。ドナー、レシピエントの性別、年齢は以下の通りであった。ドナー(男24人、女25人 / age65-76 / mean; 67)。レシピエント(男32人、女17人 / age7-73 mean; 41)。46例で1時間後生検にて持ち込み病変としての動脈硬化性病変を認め、このうち1年後に移植腎生検を施行している34例での動脈硬化性病変の変化と腎機能の推移を比較検討した。
【結果】1年後生検にて動脈硬化性病変の改善を認めたものは3例であり、1例はFSGS(71歳→37歳)、2例が糸球体腎炎(67歳→70歳 / 65歳→41歳)であった。31例で動脈硬化性病変は著変なく、悪化を認めたものは0例であった。Creの推移を比較すると、高齢ドナー群全体では1.3/1.48(mean 退院時 / 1年後)であり、非高齢ドナー群と比較して有意差を認めなかった。また、改善を示した3例のCreは2.48/1.83(mean 退院時 / 1年後)であった。
【結論】65歳以上の高齢ドナーでは持ち込み病変としての動脈硬化性病変はほぼ全例で認めるが、1年後生検で動脈硬化はほぼ全例で著変は認めなかった。少数(3例)で改善例も認めるが、レシピエントの年齢、原疾患での特異性は明らかでなかった。腎機能で比較すると、高齢ドナーからの移植で1年後であればCre1.48(mean値)であり、非高齢ドナー群と遜色なく、持ち込み病変の動脈硬化性病変は1年後の腎機能に明らかな影響はないと考えられる。

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