生体腎移植後2年経過後に再発したANCA関連腎炎の1例

東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科
* 横山 卓剛、木原 優、今野 理、中村 有紀、岩本 整、河地 茂行
東京医科大学八王子医療センター 腎臓内科
吉田 雅治
聖マリアンナ医科大学 病理学教室
小池 淳樹

 症例は38歳、男性。34歳時に顕微鏡的多発血管炎の診断で当院腎臓内科にてステロイドパルス療法・血漿交換療法・シクロフォスファミド静注療法施行された。その後寛解認められたが、腎機能は徐々に悪化を認め、36歳時に父親(68歳)をドナーとしpreemptive生体腎移植術施行。移植後腎機能はS-Cr1.9 〜 2.0で安定し尿中赤血球・炎症反応も認めず経過していた。MPO-ANCAは25前後と陽性を維持していたが状態安定していたためステロイドを含む移植後免疫抑制剤投与で経過観察の方針となった。移植後1年半後よりMPO-ANCAの再上昇を認め、移植後約2年後より尿中RBC高度陽性となり同時期より徐々に腎機能の悪化を認めた。移植後2年4ヶ月後に行われた移植腎生検では明らかなANCA関連腎炎の再発は指摘できなかったが、その後腎機能の改善認めないまま経過し、移植後2年6ヶ月後に再度移植腎生検施行、生検標本の一部の糸球体に細胞性半月体形成が確認されANCA関連腎炎の再発と診断された。その後リツキシマブ導入(375mg/u)し2回投与後、現在腎機能はS-Cr3.5から2.8へと軽快、尿中赤血球数の低下も確認している。今回我々は生体腎移植後早期に再発したANCA関連腎炎の病理学的変化を捉えかつ治療介入中の1例の経過を報告する。

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