当施設におけるBKウイルス腎症の検討
Clinical outcomes of biopsy proven BK virus nephropathy in patients with kidney transplantation: A single center experience

市立札幌病院 腎臓移植外科
* 見附 明彦、福澤 信之、平野 哲夫、原田 浩
市立札幌病院 病理診断科
辻 隆裕、深澤 雄一郎

【緒言】腎移植後のBKウイルス腎症(BKVN)の発症率は3 〜 8%と言われており、高率に移植腎喪失に至ると言われている。当院でBKVNを発症した症例は少ないものの、これまで726例中11例(1.5%)のBKVNを経験している。これらの症例を対象として患者背景、免疫抑制プロトコール、BKVNの治療と治療後の病理組織学的所見について検討したので報告する。

【患者背景】2001年から2011年に、BKVNを発症した11例の背景は、男性9例、女性2例、献腎症例は2例、ABO血液型不適合例は1例のみであった。年齢中央値は51歳、維持免疫抑制剤は1例でCSAを使用されいてる以外はTACER、MMF、mPSLの3剤で維持されおり、1例にEVRを追加されていた。当施設では2012年以降の症例で導入免疫抑制療法にEVRを導入しており、それ以降のBKVNの発症は1例のみであった。

【診断と治療経過】BKVNの診断は尿細胞診、尿中および血中BKV-PCRでBKV陽性かつ移植腎生検で診断した。治療は全例でMMFもしくはCNIの減量を行っており、2001年以降の6症例ではCidofovirを使用し移植腎喪失に至った症例は認めていない。移植腎喪失に至ったのは4例(36%)でBKVNが原因で移植腎喪失に至った症例は2例(18%)であった。治療後のモニタリングは、血中BKV−PCRの陰性化した症例をもってBKVN治癒と判断した。

【結語】移植腎機能低下を認めた場合、尿細胞診や移植腎生検による早期の診断、Cidofovirによる治療が移植腎喪失の回避につながると考えられた。

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