抗カルジオリピン抗体陽性の血液型不適合生体腎移植例に見られた糸球体病変
A case of thrombotic microangiopathy associated with antiphospholipid antibody syndrome in kidney transplant recipient

九州大学大学院 病態機能内科学
* 土本 晃裕、松隈 祐太、植木 研次、鶴屋 和彦、北園 孝成
福岡大学病院 腎臓膠原病内科
升谷 耕介
九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学
栗原 啓、岡部 安博

 症例は66歳男性。59歳時に真性多血症、62歳時にアナフィラクトイド紫斑病と診断された。腎機能低下を認めたが、腰痛のため腎生検が施行できず、65歳時に血液透析導入となった。導入前の検査で抗カルジオリピン抗体が陽性であった。66歳時に妻をドナーとする血液型不適合生体腎移植を施行した。術前ドナー抗体は陰性で、血漿交換とリツキシマブによる脱感作療法を行った。最低Crは1.16 mg/dLであった。3ヶ月定期生検ではメサンギウム融解を伴う管内細胞増多の所見を認めた。抗体関連拒絶、糸球体腎炎、血栓性微小血管症(TMA)の鑑別のため検査を開始した直後にCrが2.4 mg/dLへ上昇し、再生検を行った。糸球体病変は前回生検と同様に高度の管内細胞増多、内皮細胞腫大、メサンギウム融解を認め、一部係蹄壁の二重化を認めた。傍尿細管毛細血管にC4dがびまん性に沈着していたが、糸球体への沈着は分節性であった。IgAを含め免疫グロブリンの沈着を認めなかった。電顕では糸球体内皮細胞障害の所見を認めたが、傍尿細管毛細血管壁の多層化を認めなかった。抗ドナー抗体は陰性であり、TMAと考えて検査を進めたが、抗カルジオリピン抗体陽性以外に異常を認めなかったため、抗リン脂質抗体症候群に準じてステロイドパルス療法と血漿交換を行った結果、移植腎機能は改善し、Cr 1.5 mg/dL前後で経過している。本症例では臨床的に抗リン脂質抗体症候群を示唆する症状を認めなかったが、抗カルジオリピン抗体が陽性で解釈の困難な糸球体病変を呈した。今回の病理診断の妥当性についてご教示いただく症例を呈示する。

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