移植後IgA沈着症の病理学的再評価
Histopathological reevaluation of IgA deposition

大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学講座(泌尿器科学)
* 中澤 成晃、今村 亮一、角田 洋一、阿部 豊文、野々村 祝夫
大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学
難波 倫子
大阪大学大学院 先端移植基盤医療学寄附講座
市丸 直嗣、高原 史郎
大阪急性期総合医療センター 泌尿器科
蔦原 宏一、高尾 徹也、山口 誓司
大阪急性期総合医療センター 病理科
伏見 博彰
兵庫県立西宮病院 泌尿器科
山中 和明、岸川 英史、西村 憲二
兵庫県立西宮病院 病理科
岡 一雅

【目的】移植後protocol biopsyの普及に伴いIgA沈着症が散見されるようになった。持ち込みIgA沈着症の多くは1年以内に消失するが、新たに認めたIgA沈着症がどのように自然経過するかはあまり検討されていない。そこで移植後IgA沈着症がどのように病理学的変化をきたすのかを明らかにすることを目的とした。

【方法】2000年1月から2016年12月までに大阪大学医学部附属病院、大阪急性期総合医療センター、兵庫県立西宮病院の3施設で移植腎生検を受け、IgA沈着症を認めた31例のうち、その後再生検を施行した23例を対象とし、IgA沈着症の病理学的変化を後方視的に検討した。
病理組織所見はBanff分類、Oxford分類、IgA腎症組織学的重症度分類に基づいて評価した。臨床データはカルテより抽出した。

【結果】IgA沈着を認めた31例の患者背景は、男性8例、女性23例、移植時年齢35歳、生体腎移植30例、献腎移植1例、親子間19例、兄弟間4例、非血縁8例であった。移植から初回IgA沈着までの期間は13.2ヶ月であった。平均総糸球体数は15.8、硬化糸球体数は0.9、MEST scoreは全例0、H gradeはIであった。
このうち23例に再生検を施行し、再生検までの期間は、28.2ヶ月であった。うち9例(39.1%)がIgA腎症と診断され、5例(21.7%)でIgA消失を認め、残りの9例(39.1%)でIgA沈着が維持していた。MEST scoreはIgA腎症を認めた2例のみで1であった以外は全例0、H gradeは全例で0であった。IgA腎症を認めた9例中2例で透析再導入となった。

【結論】IgA沈着症を認めた症例のうち39.1%はその後、IgA腎症に進展した。しかし、IgA沈着症の診断時の病理所見、臨床所見のみで、その後IgA腎症に進展するかどうかの予測は困難であり、今後の症例の蓄積によりさらなる解析が必要と考えられた。

戻 る  ページの先頭