移植後再発性膜性腎症の臨床病理学的検討

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 亀谷 直輝、武田 朝美、渡辺 裕、伊藤 衣里、下串 浩矢、
村田 実奈子、田中 章仁、新城 響、小池 清美、大塚 康洋、
二村 健二、辻田 誠、後藤 憲彦、渡井 至彦

 膜性腎症の移植後再発率は10-45%と報告されているが、頻度とともに再発時期も報告によるばらつきが大きい。
 再発の危険因子や再発後の臨床経過、治療反応性についての検討も少ない。
当院において2002年から2016年までに施行された1113例の腎移植で原疾患が膜性腎症と判明している9症例の移植後1年までの移植腎生検組織を吟味し、膜性腎症の再発頻度、臨床像を検討した。
 6症例(67%、男性5例女性1例)で組織学的に膜性腎症の再発を認めた。移植後3週間プロトコル生検で4例、3ヶ月エピソード生検で1例、6ヶ月プロトコル生検で1例と早期の再発であり、蛍光抗体法では全例がIgGとC4dは係蹄顆粒状に陽性で、3例のC3は陰性だった。診断時の尿蛋白は2例で2g/gCreを超えていたが4例は陰性だった。
腎保護療法で経過観察し、移植後1年で蛋白尿が増加した3例にパルス療法およびリツキサンを使用した。治療後尿蛋白は減少し移植腎機能は保持されている。
 膜性腎症は高率に移植後早期に再発を認めていた。原疾患を把握し、プロトコル生検を含めた詳細な観察で再発を早期に確認し治療介入することで移植腎予後を改善できる。

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