移植腎生検から診断されたアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症の一例
A case of adenine phosphoribosyltransferase deficiency diagnosed by renal allograft biopsy

市立札幌病院 病理診断科
* 石井 保志、柳内 充、辻 隆裕、岩崎 沙理、石立 尚路、今本 鉄平、
深澤 雄一郎
広域紋別病院 総合診療科
和田 吉生
市立札幌病院 腎臓移植外科
福澤 信之、見附 明彦、原田 浩
東京女子医科大学付属膠原病リウマチ痛風センター 膠原病リウマチ科
谷口 敦夫

【はじめに】アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)欠損症はAPRTの遺伝子異常による常染色体劣性遺伝疾患である。2.8-ジヒドロキシアデニン(DHA)を主成分とする尿路結石症を主症状とし、無症状の場合もあるが腎不全に至る重篤な場合もある。

【症例】45歳、男性。幼少期より腎萎縮と尿管結石を認めていた。緩徐であるものの腎機能障害が進行し、41歳時に血液透析導入となった。自己腎生検は未施行で、原疾患不明だった。45歳時に妻をドナーとした血液型不適合腎移植を施行した。術後4日目に血清Cr上昇を認め、臨床的拒絶反応と判断し、メチルプレドニゾロン(500mg×3days)投与を行った。術後6日目の移植腎生検でBorderline changes[t1、i1]であり、デオキシスパガリン(300mg×7days)投与を行い、その後は血清Cr 2.0mg/dl前後で推移していた。移植後3ヶ月のプロトコール生検で、尿細管や間質に褐色調の結晶が多数沈着しており、尿細管傷害の所見を伴っていた。精査の結果、APRT*Q0c/APRT*Q0cの遺伝子変異がみつかりAPRT欠損症(完全欠損型)の診断となった。フェブキソスタット20mg/dayより内服を開始し、80mg/dayで尿中2,8-DHA結晶の消失が確認された。移植後6ヶ月のプロトコール生検でも、結晶の減少と尿細管傷害の改善を認めた。

【まとめ】原疾患不明のまま施行した腎移植後のプロトコール生検からAPRT欠損症の診断に至り、移植腎機能増悪を未然に防ぎ得た貴重な症例と考えられた。若干の文献的考察を加えて報告する。

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