リツキシマブ抵抗性de novo DSA陽性抗体関連型拒絶反応にサイモグロブリンを使用した1例
Administration of anti-thymoglobulin to rituximab-resistant antibody-mediated rejection with de novo DSA: A case report

市立札幌病院 泌尿器科
* 広瀬 貴行
北海道大学病院 泌尿器科
岩見 大基、堀田 記世彦、佐々木 元、樋口 はるか、高田 祐輔、
篠原 信雄
北海道大学 病理診断科
中 智昭

 抗体関連型拒絶反応(AMR)は未だ確立した治療法はない。今回我々は腎移植後にde novo DSA陽性AMRを発症し、リツキシマブ使用後も改善を認めない症例にサイモグロブリンを使用したので報告する。症例は61歳、男性。原疾患は尿路結石による閉塞性腎症で、2年間の血液透析を経て妻をドナーに血液型不適合腎移植(B型→O型)を施行した。脱感作療法は、4週間前にリツキサン投与と、CyA、MMFの内服を開始し、血漿交換を2回行った。移植2日後に尿量低下あり、抗B抗体陽性、移植後1時間生検でのTMAの所見から抗血液型抗体によるAMRと診断し、2回の血漿交換、ステロイドパルス、IVIGによりAMRは鎮静化した。その後Cr 1.3 mg/dl程度で推移していたが、術後1年目に特に誘因なくCr 1.8 mg/dlに上昇した。腎生検では糸球体炎と傍尿細管毛細管炎の所見で、LABScreenでde novo DSA(DQ 03: 01)が検出されたことからde novo DSAによるAMRと診断した。ステロイドパルス、血漿交換、リツキシマブでCr1.5 mg/dlまで低下したが、腎生検では治療前と変化を認めず、B細胞除去後も改善しないAMRとしてサイモグロブリンを投与しエベロリムスを追加して血漿交換を継続した。その後の腎生検でAMRの所見の消失を確認し、Cr 1.5 mg/dl程度で推移していた。しかしその4ヶ月後Cr 1.8 mg/dlまで再上昇あり、腎生検でAMR再燃と診断された。ステロイドパルス、デオキシスパガリン、血漿交換、エベロリムス増量を行うも効果なく、再度サイモグロブリン投与を行ったところ、Cr 1.5-1.7 mg/dlに改善した。現在移植後2年で拒絶反応再燃の兆候なく注意深く経過観察している。

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