早期に再発した糖尿病性腎症患者2例の経過報告

市立札幌病院 腎臓移植外科
* 福澤 信之、見附 明彦、平野 哲夫、原田 浩
市立札幌病院 泌尿器科
広瀬 貴行
市立札幌病院 病理診断科
岩崎 沙理、辻 隆裕、深澤 雄一郎
広域紋別病院 総合診療科
和田 吉生

 糖尿病(DM)発症後に腎症(DMN)に至るには通常10-15年を有するとされているが、移植後の経過については不明な点も多い。移植後短期間にDMNが再発した2型糖尿病を原疾患とする2症例について提示する。

【症例1】55歳男性。透析歴4ヶ月で姉をドナーとして生体腎移植を施行。導入免疫抑制はTAC/MMF/MP/BSXで、前2剤で維持し、2年目にTACをCSAに変更。移植腎機能はCr1.2mg/dlと尿蛋白0.2g/gCrと安定。3MpBxでIF/TA grade3、6MpBxでIgA沈着を認めたが、1YpBxでは軽度のCNI arteriolopathyのみでIgA沈着は消失した。3Y、5YpBxでは異常なし。しかし5年後尿蛋白が0.5-0.8g/gCrと顕性化し、7年後Cr 1.4、尿蛋白1.2g/gCrと悪化。7YpBxでmm2、糸球体門部の血管増生、輸出細動脈硬化を認めDMN再発と診断。終始HbA1cは7.5%。厳格な血糖コントロールとCNI減量を開始した。

【症例2】45歳男性。夫婦間PEKTを施行。導入免疫抑制はTAC/MMF/MP/BSXで、前2剤で維持。11年を経過したが、Cr 1.0mg/dl、尿蛋白0.2g/gCrと良好。pBxでは異常はなかったが、10YpBxでメサンギウム増殖領域の拡大(mm1)、輸出細動脈硬化を認めDMNの初期と考えられた。終始HbA1cは7.5-8.5であった。Cr1.1mg/dl、尿蛋白陰性であり安定しているが、より厳格な血糖コントロールを開始した。

【結語】移植後糖尿病患者においてはDMコントロールが不良な場合、早期に再発することがある。

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